一般社団法人福岡労務監査推進協議会

有給休暇の取得率はどれくらいですか?

その他

2019-12-16

有給休暇の取得率はどれくらいですか?

こんにちは、社会保険労務士の藤高昌子です。

2019年4月から5日間の有給休暇取得が義務化されました。政府は2020年までに有給休暇の取得率70%を目標にしていますが、皆さんの会社ではどれくらいの取得率でしょうか?

そもそも有給休暇とは何でしょう。

有給休暇とは労働基準法39条により定められており、雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、この条件を満たすと年10 日の有給休暇が付与されます。年10日は「有給」で休むことができる、すなわち取得しても賃金が減額されません。また、その後も同様に要件を満たすことで、次の表1に示す有給休暇が付与されます。

なお、パートタイム労働者など所定労働日数が少ない労働者についても年次有給暇は付与されます。ただし、週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者については比例的に付与され、具体的には次の表2のとおりとなります。

さて、今回有給休暇取得が義務化された対象者は、有給休暇の付与日数が10日以上である労働者に限ります。つまり、6ヶ月間継続勤務し、年10日の有給休暇が付与された表1の労働者のみではなく、表2のパートタイム労働者等についても、有給休暇が年10日付与された労働者については義務化の対象となります。

例えば、1日6時間×週4日勤務しているパートタイム労働者等の場合、原則として、雇い入れの日から3年6ヶ月間継続勤務して、直近1年間の全労働日の8割以上出勤した労働者には、年10日の有給休暇の権利が発生しますので、有給休暇取得が義務化される対象者となります。

有給休暇の取得が義務化されることで、人件費の増加、人手不足の深刻化、罰則のリスク(有給休暇取得が達成できなかった場合、1人につき6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金)等、会社にとってはデメリットが多いように感じますが、自社の働き方を見直して生産性を向上させるチャンスでもあります。

有給休暇の取得率が高いと、労働者のモチベーションが上がり、離職率の低下や採用活動時の強みとなるでしょう。また、予定通りに有給休暇を取得するために、人員配置を適正化したり、業務効率化を図ったりと、生産性向上にも繋がります。

中には、社員の有給取得を促すため、ユニークな休暇制度を取り入れている企業もあります。

ボランティア休暇、結婚記念日休暇、失恋休暇、バーゲン休暇等々・・・。このような自社オリジナルの休暇については就業規則で定めることが出来ますので、ぜひ私たち社会保険労務士にご相談ください。

最後に、労務デューデリジェンスの視点からお伝えしますと、有給休暇の未消化は簿外債務となります。義務化された5日間に拘らず取得率100%を目指すことで、売手側となった際にマイナス評価を防ぐことが出来ますし、買手側としては思わぬ債務を背負うリスクを避けるため、私たちのような専門家によるデューデリジェンスを徹底することが大切です。

さぁ、あなたの会社では、どれくらいの有給取得率を目指しますか?

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